2025-26冬季シーズンは、世界各地で雪崩による死亡事故が相次ぎ、統計的にも深刻な年となっている。欧州では3月中旬時点で127名が命を落とし、米国ではカリフォルニア州で45年ぶり最悪の雪崩事故が発生した。本記事では、今シーズンの主要な事故と、その背景にある積雪構造の問題を整理する。

欧州: シーズン死者127名 — 平年を大幅に上回る

欧州雪崩警報サービス(EAWS)の集計によると、2025-26シーズンの雪崩死者数は3月16日時点で127名に達した。欧州の年間平均は約100名であり、シーズン半ばにしてすでにこれを超えている。

国別死者数(2025年10月〜2026年3月16日)

イタリア: 33名 / フランス: 31名 / オーストリア: 29名

出典: EAWS Fatalities 2025/26

特にフランスアルプスでは、12月26日の最初の死亡事故以降、2月末までに28名が死亡しており、同時期の平均(約8名)の3倍以上という異常なペースである。

イタリア・南チロル: 25名巻き込み、2名死亡(3月21日)

3月21日、イタリア・南チロル州ラッチングス(Ratschings)近郊のホーエ・フェルセ(標高2,669m)山腹で大規模な雪崩が発生し、スキーヤー25名が巻き込まれた。2名が死亡、3名が重傷、2名が軽傷を負った。救助にはヘリコプター6機と約80名の救助隊員が投入された。

米国カリフォルニア: 9名死亡 — 45年ぶり最悪の雪崩事故(2月17日)

2月17日、カリフォルニア州レイクタホ近郊のキャッスルピーク付近で、バックカントリースキーツアー中のグループ15名(ガイド4名を含む)が雪崩に巻き込まれ、9名が死亡した。米国における雪崩事故としては45年ぶりの最悪の規模となった。

ツアーはBlackbird Mountain Guides社が主催した3日間のバックカントリー遠征の最終日に発生。ネバダ郡保安局は刑事過失の可能性を含む捜査を開始し、カリフォルニア州労働安全衛生局(Cal/OSHA)もツアー会社への調査に着手している。

コロラド州: シーズン初の死亡事故(3月7日)

3月7日、コロラド州ヴェイルパス南方のボスベイスン(Boss Basin)エリアで、単独のバックカントリースキーヤーが雪崩に巻き込まれ死亡した。コロラド雪崩情報センター(CAIC)は、同州における2025-26シーズン初の雪崩死亡事故として記録している。

背景: 不安定な積雪構造

今シーズンの死者数増加の主因は、単なる降雪量の多さではなく、極端な気象変動が生み出した不安定な積雪構造にあると専門家は指摘する。南寄りのジェット気流がアルプス全域に大量の降水をもたらし、急激な気温変化と相まって、弱層を含む複雑な積雪プロファイルが形成された。

EAWSは欧州の雪崩危険度スケールの改訂も検討しており、変化する雪崩リスクへの対応が世界的な課題となっている。

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