白馬大雪渓 社会実験プロジェクト

~雪崩を「災害」から「水資源管理ツール」へ~

白馬大雪渓(2024年10月26日撮影)
左2015年の白馬大雪渓、右2025年の大雪渓

消えゆく大雪渓、枯渇する水資源

2024年夏、日本三大雪渓の一つである白馬大雪渓が完全に消失しました。万年雪として蓄積されてきた雪が、わずか数年で私たちの目の前から姿を消したのです。これは単なる景観の喪失ではありません。雪渓の消失は、地域の水資源システムの崩壊を意味しています。

今、起きている現実

  • 水資源の枯渇: 春から夏の農業用水が不足し、稲作への深刻な影響
  • 土砂災害の激化: 雪渓が守っていた斜面が崩壊、登山道の消失
  • 河川の濁水: 土砂流出により、下流域の水の濁り
  • 地域経済への打撃: 登山道閉鎖による観光資源の喪失
白馬大雪渓 馬尻付近の様子(イメージ)
白馬尻小屋からの眺望、2024年土砂により大岩が埋まる

革命的アプローチ:人工雪崩による水資源管理

なぜ「雪崩」なのか

雪崩によって堆積した雪は、自然積雪よりも大幅に高い密度を持ち、融解速度が遅いという特性があります。私たちは、この自然の力を積極的に活用し、雪渓を「天然のダム」として機能させます。

社会実験で証明すること

1. 水資源の安定供給

  • 人工雪崩により大雪渓に雪を計画的に堆積
  • 融雪時期を制御し、4~8月の灌漑期の流量を平準化
  • 年間を通じた安定的な水供給システムの構築

2. 土砂災害の防止

  • 雪渓による斜面保護効果の維持
  • 土砂生産量の抑制(推定50%削減)
  • 下流域の濁水発生の防止

3. 気候変動への適応モデル

  • 日本初の3,000m級山岳での雪崩管理技術の構築
  • 世界に発信できる山岳環境管理モデルの構築

なぜ今、行動が必要なのか

失われつつある1000年の蓄積

大雪渓周辺で氷河が発見されたことは、この雪が数百年、数千年かけて蓄積されてきた証拠です。私たちの世代で、この貴重な水資源を失うわけにはいきません。

2030年までが勝負

気候モデルによれば、今後5年間の対策が地域の水資源の未来を決定づけます。今行動を起こさなければ、取り返しのつかない事態に陥ります。

未来への責任

次世代に残すべきもの

水は命の源です。私たちには、この貴重な水資源を守り、次世代に引き継ぐ責任があります。この社会実験は、単なる研究ではありません。子どもたちの未来を守る、具体的な行動です。

あなたにできること

  1. 認識する: 地域で起きている現実を知る
  2. 共有する: この危機と解決策を周囲に伝える
  3. 支援する: プロジェクトへの協力・支援
  4. 参加する: 地域の水資源管理への関心を持つ

プロジェクトの進捗

2025年~2027年 実証実験フェーズ

  • 気象観測機の設置
  • 人工雪崩技術の実証
  • 水資源への影響評価

期待される成果

  • 河川流量の安定化(変動幅30%削減)
  • 土砂災害リスクの低減
  • 地域の水資源管理モデルの確立

メッセージ

「遠くの氷河が溶けることを憂うことも大切ですが、 自分たちが住む地域で起きている現実に目を向けてください。雪崩を『災害』から『恵み』へ。 私たちは、自然の力を借りて、未来を変えます。」

一般社団法人アルプス雪崩研究所
代表理事 森山建吾