気象観測システム
〜 山岳域の気象を24時間監視するネットワーク 〜
日本初、24-25シーズンに厳冬期の北アルプス3000m級稜線での気象観測を実現しました。
過酷な環境下でも安定稼働する観測機器により、これまで取得困難だった厳冬期の山岳気象データをリアルタイムで収集しています。
このデータは、雪崩解明と雪崩予測の精度向上、気候変動研究の貴重な基礎資料となります。
なぜ山岳気象観測が重要なのか
データの空白地帯だった3000m級の山岳
従来の課題:
- アメダス観測点は主に平地と山麓のみ
- 山岳地帯は観測の空白地帯
- 厳冬期のデータはほぼ皆無
結果として:
→ 正確な雪崩予測が困難
→ 気候変動の実態が不明
→ 雪山ユーザーへの情報提供が不十分
私たちが埋める「データの空白」
「気象が変化したことで降る雪は変わり、発生する雪崩が変化した。
科学的データに裏付けを持たせ、感覚にブレはないのか計ることが重要」
この理念のもと、最も過酷で、最もデータが必要な場所に観測網を構築していきます。
観測システムの概要
📍 観測地点マップ
[北アルプスの地図に観測点をプロット]
稼働中の観測機
2026年度設置予定
2027年度設置予定
主な観測エリア:
- • 白馬バレースキー場(栂池高原スキー場、白馬五竜、白馬八方尾根スキー場)
- • 唐松岳、白馬乗鞍岳
現在の観測網
5基
稼働中(うち1台が独自に設置したもの)
2027年目標
15基
体制
🌡️ 観測項目
気象基本データ
- 気温
- 湿度
- 気圧
- 日射量
風況データ
- 風速
- 風向
積雪関連データ
- 積雪深
- 雨量計
⚙️ システム仕様
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| データ取得間隔 | 10分 |
| データ送信 | 携帯回線/衛星通信 |
| 電源 | 太陽光パネル + バッテリー |
| 耐環境性能 | -40℃〜+50℃、風速60m/s |
| メンテナンス | 月に1回 |
厳冬期北アルプスでの観測の困難さ
過酷な環境との戦い
私たちが直面する課題:
1. 極限の気象条件
- • 冬季の最低気温:-20℃以下
- • 最大風速:50m/s以上
- • 着氷、落雷による機器の故障
2. アクセスの困難さ
- • 厳冬期の気象観測機の設置場所へのアクセスは深い雪に閉ざされ困難
- • メンテナンスは重労働
3. 通信の不安定さ
- • 携帯電波の届かないエリア
- • 衛星通信のコスト
- • 天候要因による通信障害
リアルタイムデータの活用
📊 データ表示イメージ
[観測データのダッシュボード画面]
白馬岳観測点(標高2,932m)
2025年8月30日 14:00
気温: 12.3℃
積雪深: 0cm(夏季)
積雪深: 0cm(夏季)
風速: 15.2m/s(西)
湿度: 78%
湿度: 78%
観測データの価値と活用事例
1. 雪崩予測の精度向上
具体的な活用:
- • 降雪の開始・終了時刻、降雪強度の正確な把握
- • 風による雪の移動量推定(吹きだまり予測)
- • 気温変化による雪質変化の追跡
成果:
スキー場雪崩管理にて気象観測機データをもとに、気象条件による雪崩発生予測モデルの構築を行なった。
2. 雪山利用者の安全確保
提供情報:
- • 稜線の風速情報(行動可否の判断)
- • 気温情報(凍傷・低体温症リスク)
- • 気象情報による雪崩発生のリスク判断
3. 気候変動研究への貢献
研究価値:
- • 高標高地点での長期気象データ
- • 温暖化の垂直分布の解明
- • 極端気象の頻度分析
連携機関での活用:
信州大学、森林総合研究所等との共同研究に活用
観測網拡充へのご支援のお願い
なぜ支援が必要か
山岳気象観測は、採算性は低いが社会的価値の高い事業です。
民間企業では手を出しにくいこの領域で、私たちは公益を追求しています。
ご支援でできること
| 支援額 | 実現できること |
|---|---|
| 5万円 | 1年間の通信費(1基分) |
| 50万円 | メンテナンス費用(一年) |
| 60万円~ | 小型観測機1基の設置 |
| 260万円 | 高性能観測機1基の設置(気象庁認定品) |